離婚で共同親権はどうなる?制度の仕組みから手続き・選び方まで徹底解説

離婚で共同親権はどうなる?制度の仕組みから手続き・選び方まで徹底解説

「離婚したら子どもの親権はどうなるの?」「共同親権って何?自分たちに関係ある?」——2026年4月1日から日本でも離婚後の共同親権が選択できる制度が施行され、離婚を考えている方や既に離婚済みの方から多くの疑問が寄せられています。この記事では、共同親権の基本的な仕組みから、単独親権との違い、メリット・デメリット、DVがある場合の例外的な取扱い、手続きの流れまで、弁護士監修のもとわかりやすく徹底解説します。ぜひ最後まで読んで、あなたに最適な選択の判断材料にしてください。

目次

共同親権とは?30秒でわかる基本と結論

共同親権とは?30秒でわかる基本と結論

共同親権とは、離婚後も父母の双方が子どもの親権を持ち続ける制度です。

従来の日本では、離婚すると必ずどちらか一方だけが親権を持つ「単独親権」しか認められていませんでした。

しかし2024年に民法等が改正され、2026年4月1日から離婚後も父母が共同で親権を持てる「共同親権」が選択できるようになります。

ただし共同親権は義務ではなく選択肢のひとつであり、単独親権も引き続き選べます。

まずは「共同親権とは何か」「いつから始まるのか」「自分に関係があるのか」という基本をしっかり押さえましょう。

共同親権の定義|離婚後も父母が共同で親権を持つ制度

親権とは、子どもの身の回りの世話や教育を行う「身上監護権」と、子どもの財産を管理する「財産管理権」を合わせた権利のことです。

婚姻中の夫婦は自動的に共同親権を持っていますが、これまでの日本では離婚と同時に必ずどちらか一方だけの単独親権になっていました。

新制度では、離婚後も父母の両方が親権を持ち続けることが可能になります。

共同親権の下では、子どもに関する重要な決定(例:進学、重大な医療、転居など)は原則として父母が協議して決めることになります。

参考:法務省「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」(PDF)

共同親権とは?いつから?メリットとデメリットを解説 | 離婚の相談は ...

2026年施行|法改正のスケジュールと対象者

2024年5月に成立(同月公布)した改正民法等は、2026年4月1日から施行されます。

施行日以降に離婚する夫婦は、協議・調停・裁判のいずれの方法でも共同親権か単独親権かを選択できます。

また、施行前に既に離婚している夫婦も、家庭裁判所に親権変更の申立てを行うことで、共同親権に変更できる可能性があります。

対象者は未成年の子どもを持つすべての離婚夫婦であり、子どもが18歳未満である限り制度の対象となります。

参考:南砺市「離婚後の子の養育に関する民法等改正(共同親権等)」

選択制であり義務ではない|よくある誤解を解消

「離婚すると強制的に共同親権になってしまう」と誤解している方が多いですが、これは誤りです

改正後も、単独親権を選ぶことは引き続き可能であり、共同親権は選択肢のひとつにすぎません。

協議離婚の場合は父母が話し合って決め、話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所が子どもの利益を最優先に判断します。

特にDVや虐待がある場合など、共同親権が子どもの利益に反する事情があるときは、裁判所は共同親権を定めず、単独親権とする判断を行います(詳細は後述)。

「共同親権=強制」ではなく「共同親権=新たな選択肢の追加」と理解することが重要です。

離婚時の共同親権と単独親権の違い|比較表でわかる5つのポイント

離婚時の共同親権と単独親権の違い|比較表でわかる5つのポイント

共同親権と単独親権では、子どもに関する意思決定の方法や日常生活への影響が大きく異なります。

以下の比較表で、5つの主要ポイントの違いを確認しましょう。

比較項目 共同親権 単独親権
親権者 父母の両方 父または母の一方
重要事項の決定 原則として父母が共同で決定 単独親権者が単独で決定
日常的決定 同居親が単独で決定可 単独親権者が決定
面会交流 別途取り決めが必要 別途取り決めが必要
変更の可否 裁判所への申立てで変更可能 裁判所への申立てで変更可能

親権の内容(身上監護権・財産管理権)の違い

親権は大きく「身上監護権」と「財産管理権」の2つに分けられます。

身上監護権とは、子どもの居所を決めたり、教育・医療などの世話を行う権利のことです。

財産管理権とは、子ども名義の財産を管理したり、法律行為(契約など)に同意する権利のことです。

共同親権の場合、これらの権利を父母が共同で持つため、重要な決定には原則として双方の合意が必要となります。

単独親権の場合、親権者だけがすべての権利を持つため、意思決定はよりシンプルです。

共同親権とは?いつから導入?メリット・デメリットなどをわかりやすく ...

子どもの重要事項の決定方法|進学・医療・居所

共同親権の下では、子どもの進学先の決定・手術などの重大な医療行為・居所(住む場所)の変更などの「重要事項」()は、原則として父母が協議して決めることになります。

協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に申立てを行い、裁判所が判断を下します。

緊急を要する医療行為(命に関わる手術など)については、一方の親が単独で決定できる例外が設けられています。

一方、単独親権の場合は親権者がすべての重要事項を単独で決定できるため、スピーディな対応が可能です。

日常的な決定事項の扱い|同居親の単独決定が可能

「共同親権になったら、子どもの毎日のことをいちいち相手に確認しないといけないの?」と心配される方も多いですが、日常的な決定事項は同居親が単独で行えます

たとえば、食事・習い事・友人関係・日々の医療(風邪の受診など)といった日常生活上の判断は、子どもと同居している親が単独で決定できます。

相手の同意が必要なのはあくまで「重要事項」に限られるため、日常生活への影響は限定的です。

ただし、「重要事項」と「日常的事項」の線引きが曖昧なケースもあり、事前に離婚協議書で具体的なルールを定めておくことが推奨されます。

面会交流との関係|共同親権でも別途取り決めが必要

「共同親権になれば自動的に子どもに会えるようになる」と思っている方もいますが、面会交流は共同親権とは別の問題です。

共同親権を選択した場合でも、面会交流の頻度・方法・場所などについては、別途取り決めを行う必要があります。

面会交流は、子どもと別居している親(非同居親)と子どもが交流するための制度であり、親権の有無に関わらず子の利益の観点から重視されます

共同親権を持っていても、非同居親が子どもと実際に会う機会は、面会交流の取り決めによって決まります。

親権変更の可否|後から変更できるケース

一度決めた親権は変更不可能ではありません。家庭裁判所への申立てにより、単独親権から共同親権へ、またはその逆への変更が可能です。

変更が認められる主なケースとしては、「子どもの生活環境が大きく変化した」「一方の親が育児放棄をした」「元夫婦間の関係が改善された」などが挙げられます。

ただし、親権変更は子どもの利益を最優先に判断されるため、単に「変更したい」という一方の希望だけでは認められないことがほとんどです。

既に離婚済みの方も、施行日(2026年4月1日)以降に家庭裁判所へ申立てることで、共同親権への変更を求めることができます。

離婚後の共同親権|メリット・デメリットを親と子ども両方の視点で解説

離婚後の共同親権|メリット・デメリットを親と子ども両方の視点で解説

共同親権を選ぶかどうかは、子どもにとっても親にとっても大きな影響を持つ判断です。

ここでは、子ども目線・親目線の両方からメリット・デメリットを整理します。

共同親権とは?制度を徹底解説! | コメチャンネル | 公明党

子どもにとってのメリット|両親との関係維持と心理的安定

子どもの視点から見た共同親権の最大のメリットは、両親との継続的な関係を維持できることです。

離婚によって片方の親との関係が途絶えてしまうと、子どもは「自分が捨てられた」「片方の親から愛されていない」という感情を持ちやすくなります。

共同親権の下では、両親がともに親権者として子どもの生活に関わり続けることで、子どものアイデンティティ形成や心理的安定に寄与するとされています。

また、両親が協力して子育てに関わることで、子どもが多様な価値観や生き方を学べる環境が生まれます。

海外の研究では、離婚後も両親が積極的に育児に関与した子どもは、学業や精神的健康において良好な結果を示す傾向があると報告されています。

親にとってのメリット|育児負担の分散と継続的な関与

親にとっての共同親権のメリットとして、まず挙げられるのが育児負担の分散です。

単独親権の場合、子どもの養育に関するすべての責任が一方の親に集中しますが、共同親権では両親が責任を分かち合います。

非同居親(子どもと住んでいない親)にとっても、親権者として子どもの重要な意思決定に関与し続けられるという点が大きなメリットです。

また、共同親権になることで、非同居親が養育費の支払い意識を持ちやすくなる可能性があるとも指摘されています。

さらに、離婚時の親権争いが減少し、離婚協議がスムーズになるケースもあるとされています。

共同親権のデメリット・懸念点|意思決定の遅延リスク

共同親権の最大のデメリットは、子どもに関する重要事項の決定に時間がかかるリスクがあることです。

父母の意見が対立した場合、協議が長引き、子どもの進学や医療などのタイムリーな決定が遅れる可能性があります。

協議がまとまらなければ家庭裁判所に申立てる必要があり、時間・費用・精神的負担が増大することも懸念されます。

また、元夫婦間のコミュニケーションが必要になるため、関係が悪化している場合や、連絡を取りたくない場合に大きなストレスになり得ます。

さらに、再婚後の家族構成が複雑になったときの意思決定の難しさも、実務上の課題として指摘されています。

高葛藤ケースでの注意点|子どもへの悪影響を防ぐには

元夫婦間の対立が激しい「高葛藤ケース」での共同親権は、子どもに深刻な悪影響を与えるリスクがあります。

両親が繰り返し争う姿を見ることで、子どもは慢性的なストレスや不安、場合によっては精神疾患を発症することもあります。

高葛藤ケースでは、面会交流支援機関や家族関係カウンセラーを活用してコミュニケーションを仲介する仕組みを整えることが重要です。

また、争いが長期化しそうな場合は、弁護士を通じた交渉・調停への切り替えを検討するべきです。

子どもの前では相手の悪口を言わない、子どもを争いの道具にしないという基本的姿勢が、どちらの親にとっても最低限守るべきルールです。

DVや虐待がある場合の例外規定|単独親権が認められるケース

DVや虐待がある場合の例外規定|単独親権が認められるケース

「DV被害を受けているのに共同親権になってしまったらどうしよう」という不安は、制度への大きな懸念のひとつです。

改正民法等では、DVや虐待などがある場合には共同親権を定めない(単独親権とする)取扱いが想定されており、被害者保護が図られています。

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裁判所が単独親権を選択する主な条件

改正民法等では、家庭裁判所が以下のような事情を考慮して、共同親権が適切か(単独親権が適切か)を判断します。

  • 一方の親によるDVや子どもへの虐待が認められるとき
  • 共同親権が子どもの利益を著しく害するとき
  • 父母間の協力が著しく困難なとき

裁判所はこれらの事情を総合的に判断し、子どもの利益を最優先として親権の在り方を決定します。

DV被害がある場合には、その証拠(診断書・写真・録音記録・通報記録など)をできる限り収集・保管しておくことが重要です。

保護命令との関係|被害者保護の仕組み

配偶者暴力防止法(DV防止法)に基づく保護命令が発令されている場合は、父母間の協議・協力が困難である事情として考慮され、共同親権ではなく単独親権が選択されやすい状況となります。

保護命令とは、DV被害者の申立てにより裁判所が加害者に対して「接近禁止」や「退去命令」を出す制度です。

保護命令が出ている状態では、父母間の協力・協議が困難であることが明らかなため、裁判所は単独親権を選択する方向で判断するとされています。

DV被害者は、離婚前に保護命令の申立てを行うことで、自身と子どもの安全を確保しながら親権問題を進めることができます。

DV被害者が共同親権を回避するための対処法

DV被害者が共同親権を回避するためには、以下の対処法を組み合わせることが有効です。

  1. 証拠の収集:診断書・通院記録・警察への相談記録などを確保する
  2. 保護命令の申立て:裁判所にDV被害を申告し保護命令を取得する
  3. 弁護士への相談:DV案件に詳しい弁護士に早期相談する
  4. シェルターや支援機関の活用:配偶者暴力相談支援センターや女性相談センターに連絡する
  5. 調停・審判での主張:家庭裁判所でDV事実を主張し、単独親権を求める

DV被害は精神的な暴力・経済的な支配なども含まれます。「身体的暴力がなければDVではない」という誤解をせず、幅広くDVとして主張することが重要です。

共同親権か単独親権か|あなたに合った選択の判断基準

共同親権か単独親権か|あなたに合った選択の判断基準

共同親権・単独親権のどちらが自分に合っているかは、夫婦の関係性・子どもの状況・生活環境など多くの要素によって変わります。

以下の判断基準を参考に、慎重に検討しましょう。

共同親権が向いているケース

共同親権が特に向いているのは、以下のようなケースです。

  • 元夫婦間のコミュニケーションが比較的円滑に取れる
  • お互いに子どもの育児に積極的に関わりたいという意思がある
  • DVや虐待の事実がない
  • 子どもが両親の両方と関係を維持したいという意思を持っている
  • 父母の居住地が近く、子どもの生活環境への影響が少ない

特に、子どもが両方の親を必要としている・両親も子どもの成長に関わり続けたいと望んでいるケースでは、共同親権が子どもの利益に最も沿う選択となりやすいです。

単独親権を選ぶべきケース

以下のようなケースでは、単独親権を選択することが子どもと自分を守る上で合理的です。

  • DVや虐待の事実がある
  • 元夫婦間の対立が激しく、協議が困難
  • 相手が育児に無関心・養育放棄の傾向がある
  • 相手の精神的・経済的状況が不安定
  • 子どもが相手の親を恐れている・会いたくないという意思がある

単独親権は「相手を排除する」ことが目的ではなく、子どもの安全と生活の安定を最優先に確保するための選択です。

子どもの年齢・意思による判断ポイント

子どもの年齢や意思も、親権選択に影響する重要な要素です。

家庭裁判所は、子どもが15歳以上の場合には、原則として子どもの意見を聴取することとされており、15歳未満でも年齢・発達に応じて意向が考慮されます。

年齢が低い子どもの場合も、子どもの様子・表情・行動を通じて間接的に意思を読み取ることが重要です。

幼い子どもほど、安定した生活環境と主な養育者との継続的な絆が心理的発達に大きく影響するとされています。

どちらの選択を検討する場合も、「子どもにとって何が最善か」という視点を常に中心に置くことが不可欠です。

離婚時に共同親権はこう決まる|親権決定の流れと手続き

離婚時に共同親権はこう決まる|親権決定の流れと手続き

共同親権か単独親権かは、離婚の方法(協議・調停・裁判)によって決定プロセスが異なります。

それぞれの流れを順番に確認しましょう。

協議離婚の場合|夫婦間の話し合いで決定

日本の離婚の約90%は協議離婚であり、父母が話し合って親権を決定します。

改正法施行後は、協議離婚の際に「共同親権」か「単独親権(父・母のどちら)」かを離婚届に記入することになります。

話し合いが成立した場合は、その合意内容を離婚協議書(できれば公正証書)として書面化しておくことを強く推奨します。

共同親権を選ぶ場合には、「重要事項の決定ルール」「日常的決定の範囲」「緊急時の対応方法」なども事前に詳細に取り決めておくと後のトラブルを防げます。

調停離婚の場合|家庭裁判所での調停の流れ

協議がまとまらない場合、家庭裁判所での調停(離婚調停)を申し立てます。

調停では、調停委員が仲介役となり、父母それぞれの意見を聞きながら合意形成を図ります。

親権についても調停の中で話し合い、合意が成立すれば調停調書に記載されます。

調停でも合意できない場合は、審判へと移行します。

調停では、子どもの利益を中心に据えた現実的な提案をすることがスムーズな解決につながります。

裁判離婚の場合|審判・訴訟での親権決定

調停が不成立の場合、審判または裁判(離婚訴訟)へと進みます。

審判・裁判では、家庭裁判所の裁判官が証拠や家庭裁判所調査官の調査結果をもとに、最終的な親権を決定します。

家庭裁判所調査官は、子どもの生活状況・両親の養育能力・子どもの意思などを調査し、裁判官に報告します。

裁判では「子の利益」が最重要の判断基準となり、単に親のどちらが正しいかではなく、子どもの福祉の観点から決定されます。

親権決定で重視される「子の利益」とは

親権決定において最も重要な基準は「子の利益(子どもの最善の利益)」です。

具体的には、以下の要素が総合的に考慮されます。

  • 子どもの心身の安全・健康
  • これまでの養育の継続性(主たる養育者との関係)
  • 子どもの意思・希望
  • 兄弟姉妹の分離を避けること
  • 各親の養育能力・環境・経済状況
  • 各親の協力意欲と面会交流に対する姿勢

「子の利益」は抽象的な概念ですが、日常の養育実績・子どもとの関係の深さ・安定した生活環境の提供能力が具体的な評価対象となります。

なぜ今?共同親権が導入された背景と法改正の経緯

なぜ今?共同親権が導入された背景と法改正の経緯

なぜ日本は今になって共同親権制度を導入したのでしょうか。

その背景には、旧来の単独親権制度の問題点と、国際的な潮流への対応があります。

改正前の問題点|単独親権制度の限界と批判

改正前の日本の単独親権制度は、国際的に見て非常に珍しい制度でした。

主要先進国のほとんど(米国・英国・フランス・ドイツなど)が離婚後も共同親権を原則としているのに対し、日本は離婚後の単独親権を義務付けていた数少ない国でした。

この制度の問題点として、以下が長年指摘されていました。

  • 離婚後、非親権者が子どもと会えなくなるケースが多発
  • 国際結婚の破綻時に外国人配偶者が子どもを連れ去られる「国際的子の奪取」問題
  • 非同居親からの養育費が継続して支払われないケースが多い(例:母子世帯で養育費を現在受給している割合は約3割にとどまる)
  • 親権争いの激化と離婚紛争の長期化

こうした問題を解消し、子どもの最善の利益を守るため、法改正の議論が加速しました。

2024年民法改正の概要|改正ポイント一覧

2024年5月に成立した改正民法の主なポイントは以下の通りです。

  • 離婚後の共同親権の導入:父母の協議または裁判所の判断により共同親権が選択可能に
  • 養育費の確保強化:養育費の取り決めと支払い確保のための法的措置が強化
  • 親子交流(面会交流)の促進:子どもと別居親との交流を促進するルールの整備
  • 子の利益の最優先原則:すべての親権・養育決定において子の利益を最優先とする旨の明文化
  • DV・虐待被害者保護:DVや虐待がある場合に共同親権を定めない方向で判断する仕組みの整備

参考:法務省「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」(PDF)

すでに離婚済みの場合|改正法の適用と親権変更申立て

2026年4月1日の施行前に既に離婚が成立している方も、施行日以降に家庭裁判所へ親権変更の申立てを行うことで共同親権への変更を求めることができます

申立ては家庭裁判所に「親権者変更調停」または「親権者変更審判」として申し立てます。

ただし、変更が認められるためには「子どもの利益のために変更が必要」という事情を示す必要があります。

単に「共同親権になったから変更したい」という理由だけでは認められない可能性が高いため、弁護士への相談を推奨します。

離婚と共同親権に関するよくある質問Q&A

離婚と共同親権に関するよくある質問Q&A

共同親権に関してよく寄せられる疑問にQ&A形式でお答えします。

Q. 共同親権だと子どもはどちらに住むの?

A: 共同親権と子どもの居所は別の問題です。共同親権を選択した場合でも、子どもが実際に住む場所は父母の協議で決定します。多くの場合、子どもはどちらか一方の親の元に主に暮らし(同居親)、もう一方の親(非同居親)とは定期的に面会交流を行います。「双方の家を行き来する」いわゆる共同監護の形も取り得ますが、子どもへの負担を考慮し、慎重に検討する必要があります。

Q. 相手が同意しないと共同親権は選べない?

A: 協議離婚の場合は、基本的に父母双方の合意が必要です。しかし、一方が共同親権を希望し他方が単独親権を希望する場合、または双方が異なる親への単独親権を主張する場合は、家庭裁判所が判断します。裁判所は子どもの利益を最優先に、共同親権・単独親権のどちらが適切かを決定します。相手の同意がなくても、裁判所が共同親権を定める可能性は制度上あります。

Q. 養育費の支払いはどうなる?

A: 共同親権を選択した場合でも、養育費の支払い義務は変わりません。養育費は「子どもの生活費を父母が収入に応じて分担する義務」であり、親権の有無や同居・別居に関わらず発生します。共同親権の場合でも、子どもが主に暮らす親(同居親)に対して、非同居親から養育費が支払われるのが一般的です。養育費の金額は、父母の収入・子どもの人数・年齢などをもとに裁判所の算定表を参考に決定します。

Q. 海外への引っ越しや転校はどう決める?

A: 共同親権の場合、子どもの居所変更(海外転居・転校)は重要事項に該当し得るため、原則として父母双方の合意が必要になります。特に子どもを連れての海外移住は、もう一方の親との面会交流に大きく影響するため、慎重な協議が求められます。合意できない場合は家庭裁判所に判断を委ねることになります。単独親権の場合は、親権者が単独で判断できますが、相手親との面会交流を妨げる形での転居は、問題になる可能性があります。

Q. 再婚した場合の親権への影響は?

A: 再婚しただけでは、元配偶者との間の親権関係は変わりません。共同親権であれば引き続き共同親権のままです。ただし、再婚相手と子どもが養子縁組した場合は、再婚相手(養親)も親権者となる可能性があります。一般的には、親権者は「実親(再婚した親)+養親(再婚相手)」という整理になります。再婚を機に親権変更を希望する場合は、家庭裁判所への申立てが必要です。

離婚・共同親権の問題は専門家に相談を|弁護士が必要なケース

離婚・共同親権の問題は専門家に相談を|弁護士が必要なケース

共同親権・離婚問題は、法律的な知識と実務経験が必要な複雑な問題です。

適切なタイミングで専門家に相談することが、自分と子どもの権利を守る最善策です。

弁護士への相談を検討すべき5つの状況

以下のような状況では、早期に弁護士へ相談することを強く推奨します。

  1. DVや虐待がある:被害の証拠収集・保護命令申立て・単独親権の確保のために専門家のサポートが不可欠
  2. 相手と話し合いができない:高葛藤・連絡拒否などの状況では、弁護士を代理人とした交渉が有効
  3. 相手が弁護士を立てている:法的交渉では専門知識の差が不利になるため、自分も弁護士を依頼すべき
  4. 親権・養育費・財産分与を同時に争っている:複数の争点を一括処理するには専門家のサポートが必要
  5. 調停・裁判へ移行した・移行しそう:法的手続きでは専門知識のある代理人が大きな力になる

弁護士費用の目安|相談料・着手金・報酬金

弁護士費用は事務所によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

費用の種類 目安金額 内容
相談料 無料〜1万円/時間 初回相談(無料の事務所も多い)
着手金 20万〜50万円 依頼時に支払う費用(協議〜裁判で異なる)
報酬金 20万〜80万円 解決後に支払う成功報酬
合計目安 40万〜130万円 事案の難易度・方法により大きく変動

費用の不安がある場合は、法テラス(日本司法支援センター)の審査を通れば弁護士費用の立替制度を利用できます。

無料で相談できる窓口一覧|法テラス・弁護士会・自治体

費用をかけずに専門家に相談できる窓口が複数あります。

  • 法テラス(日本司法支援センター):収入・資産が一定以下の方は無料法律相談&弁護士費用立替制度を利用可能
  • 各都道府県弁護士会の法律相談センター:30分5,500円程度で弁護士に直接相談できる
  • 市区町村の無料法律相談:自治体が定期的に開催。事前予約が必要なことが多い
  • 女性相談センター・配偶者暴力相談支援センター:DV被害者向けの専門相談窓口(全国各都道府県に設置)

「相談するほどの問題か分からない」と感じていても、早めの相談が最善の結果につながることがほとんどです。迷ったら一度相談してみることをお勧めします。

まとめ|離婚と共同親権で知っておくべきポイント

共同親権制度は2026年4月1日から本格施行され、離婚を考えているすべての方に関係する重要な法改正です。

制度の仕組みを正しく理解し、自分と子どもにとって最善の選択をすることが、これからの家族の幸せの第一歩となります。

記事の要点5つのポイント

  • 共同親権は選択制:2026年4月施行の改正民法等により、離婚後も父母が共同で親権を持てるようになったが、単独親権も引き続き選択可能
  • 重要事項は共同決定・日常事項は同居親が単独決定:共同親権でも毎日の細かい決定まで相手の同意は不要
  • DV・虐待がある場合は単独親権が選択される:裁判所が子どもの利益を最優先に判断し、共同親権を定めない(単独親権とする)方向で判断する仕組みがある
  • 面会交流は共同親権とは別に取り決めが必要:共同親権を選んでも、面会交流の具体的なルールは別途定める必要がある
  • 既に離婚済みの方も変更申立てが可能:施行日以降に家庭裁判所への親権変更申立てにより、共同親権への変更を求めることができる

状況別・次に取るべきアクション

あなたの状況に応じて、次のアクションを参考にしてください。

  • これから離婚を検討している方→ まず弁護士または法テラスへの無料相談を予約し、自分の状況に合った親権の選択肢を整理しましょう
  • DVや虐待被害がある方→ まず安全を確保し、配偶者暴力相談支援センターや法テラスへ今すぐ相談してください
  • 既に離婚済みで共同親権に変更したい方→ 家庭裁判所への親権変更調停申立てを弁護士と相談の上で検討しましょう
  • 養育費の未払いに悩んでいる方→ 家庭裁判所への強制執行の申立てや、改正法による新たな支援措置の活用を検討しましょう
  • まだ情報収集中の方法務省の公式資料(PDF)を確認しながら、自分のケースに合った判断材料を集めましょう

共同親権の問題は、子どもの将来と自分自身の生活に深く関わる重大な選択です。一人で悩まず、専門家の力を借りながら、最善の道を見つけてください。

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