離婚時の養育費相場を年収別に解説|算定表の見方から確実に受け取る方法まで

離婚時の養育費相場を年収別に解説|算定表の見方から確実に受け取る方法まで

「離婚したら養育費はいくらもらえるの?」「相手の年収によってどう変わるの?」と不安を感じているなら、この記事がお役に立てます。養育費の相場は月2〜6万円が多いとされていますが、実際には年収・子どもの人数・年齢によって大きく異なるのが実情です。2026年4月には法定養育費制度も導入され、ルールが変わりつつあります。この記事では、裁判所の算定表の読み方から確実に受け取るための手続きまで、わかりやすく解説していきましょう。

目次

【早見表】養育費の相場は月2〜6万円|年収・子ども人数別の金額目安

【早見表】養育費の相場は月2〜6万円|年収・子ども人数別の金額目安

養育費の相場は、月額2〜6万円が一般的な目安とされています。

厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、養育費の平均月額は母子世帯で5万485円、父子世帯で2万6,992円です。

裁判所が公表している資料によれば、夫から妻へ支払われるケースで最も多い養育費の金額帯は月額2〜4万円で全体の約29.7%を占め、次いで4〜6万円が続きます。

ただし、養育費の金額はあくまで統計上の数字であり、実際の養育費は支払う側(義務者)と受け取る側(権利者)の年収バランス、子どもの人数・年齢、子どもの生活水準などによって変動する点に注意が必要です。

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子ども1人の養育費相場【年収別】

子ども1人の場合の養育費相場は、義務者(支払う側)の年収と権利者(受け取る側)の年収の組み合わせによって決まります。

以下は、権利者(受け取る側)の年収が100〜200万円程度のケースで、義務者(支払う側)の年収別の目安です。

義務者の年収子ども1人(0〜14歳)子ども1人(15〜19歳)
200万円月1〜2万円月2〜3万円
300万円月2〜4万円月3〜5万円
400万円月4〜6万円月5〜7万円
500万円月6〜8万円月7〜9万円
600万円月8〜10万円月9〜11万円
700万円以上月10万円〜月12万円〜

たとえば義務者の年収が400万円(給与所得者)の場合、養育費の相場は月額4〜6万円程度とされています。

権利者の年収が高くなれば養育費は下がり、義務者の年収が高くなれば養育費は上がる仕組みです。

子どもが高校生(15歳以上)になると教育費などの増加を反映して、同じ年収でも養育費の金額は1〜2万円程度高くなる傾向があります。

子ども2人の養育費相場【年収別】

子どもが2人になると、1人のケースよりも養育費は増額されますが、単純に2倍になるわけではありません。

一般的に、子ども2人の養育費は1人の場合の1.3〜1.7倍程度が目安です。

義務者の年収子ども2人(ともに0〜14歳)子ども2人(1人が15歳以上)
300万円月3〜5万円月4〜6万円
400万円月6〜8万円月7〜9万円
500万円月8〜10万円月9〜11万円
600万円月10〜12万円月11〜13万円

子どもの年齢の組み合わせによっても金額が変わります。

子ども2人ともが15歳以上であれば、生活費指数が高くなるため、さらに金額が増える可能性があります。

子ども3人以上の養育費相場【加算の考え方】

子どもが3人以上いる場合、養育費の計算は少し複雑になります。

算定表では子どもが3人の場合の表が別途用意されており、2人の場合からさらに1〜2万円程度の加算が目安です。

具体的には、子ども2人の養育費が月8万円であれば、3人の場合は月9〜11万円程度になるケースが多いです。

加算額は子ども1人あたりの生活費指数(0〜14歳で62、15〜19歳で85)を用いて算出されます。

子どもの年齢が高いほど生活費指数が高くなるため、3人全員が高校生以上のケースでは養育費の総額がさらに上がります。

子どもが4人以上の場合、算定表には対応表がないため、弁護士や家庭裁判所に個別に相談するのが確実です。

養育費算定表の見方と使い方【図解でわかりやすく解説】

養育費算定表の見方と使い方【図解でわかりやすく解説】

養育費の金額を決める際、最も重要な基準となるのが裁判所が公表する「養育費算定表」です。

養育費算定表を正しく読み取ることで、自分のケースで適正な養育費がいくらになるかを把握できます。

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養育費算定表とは?裁判所が公表する目安表の基本

養育費算定表は、東京・大阪の裁判官が共同で作成し、裁判所が公表している養育費の目安表です。

法的な強制力はありませんが、家庭裁判所の調停や審判では原則としてこの算定表に基づいて金額が決定されるのが通例です。

最新版は2019年(令和元年)12月に改定されたもので、現在も実務で使われています。

算定表は子どもの人数(1人〜3人)と年齢(0〜14歳・15〜19歳)の組み合わせごとに、計16種類の表が用意されている点も特徴です。

縦軸が義務者(支払う側)の年収、横軸が権利者(受け取る側)の年収を示しており、交点の金額帯が養育費の目安となります。

算定表はすべて裁判所の公式サイトでPDF形式で公開・閲覧できます。

算定表の読み方を5ステップで解説【具体例付き】

算定表を正しく使うための手順を5つのステップで解説します。

  1. ステップ1:子どもの人数と年齢を確認する 例)子ども1人・8歳 → 「表1(子ども1人・0〜14歳)」を使用
  2. ステップ2:義務者の年収を確認する 源泉徴収票の「支払金額」が基本。給与所得者なら総支給額(手取りでなく)を使用
  3. ステップ3:権利者の年収を確認する 同様に権利者(受け取る側)の年収を確認
  4. ステップ4:算定表の縦軸・横軸で交点を探す 縦軸(義務者年収)と横軸(権利者年収)が交差するマスの金額帯を確認
  5. ステップ5:金額帯の範囲内で具体的な金額を決定する 交点が「4〜6万円」であれば、その範囲内で双方が合意した金額にする

具体例:義務者の年収500万円(給与所得者)、権利者の年収150万円(パート)、子ども1人(10歳)のケースでは、算定表(表1)で確認すると目安は月額6〜8万円程度になります。

給与所得者と自営業者で異なる年収の見方

算定表で使用する「年収」は、給与所得者と自営業者で取り扱いが異なります。

給与所得者の場合は、源泉徴収票の「支払金額(総収入)」をそのまま年収として使用します。

社会保険料や所得税を引く前の金額(いわゆる手取りではなく総支給額)が基準になる点に注意が必要です。

自営業者の場合は、確定申告書の「課税される所得金額」ではなく、事業所得(売上から必要経費を除いた額)をベースにします。

ただし、青色申告特別控除(65万円)は実際には支出していない控除のため、青色申告特別控除額を加算して年収とみなすケースが多いです。

自営業者の場合、年収400万円の給与所得者と同額の養育費にはなりません。自営業者は同じ課税所得でも算定表上の基礎収入割合が異なるため、自営業者の方が養育費の基礎収入が高くなりやすい特徴があります。

たとえば年収400万円の自営業者の養育費は、月額6〜8万円程度が相場とされ、給与所得者の月額4〜6万円より高くなる傾向があります。

あなたの養育費を計算してみよう【年収別シミュレーション】

実際のケースを使ってシミュレーションしてみましょう。

【ケース1】義務者年収400万円・権利者年収100万円・子ども1人(8歳)

算定表(表1)を参照すると、養育費の目安は月額4〜6万円となります。

義務者の基礎収入:400万円×42%=168万円、権利者の基礎収入:100万円×42%=42万円で計算します。

【ケース2】義務者年収600万円・権利者年収200万円・子ども2人(5歳・10歳)

算定表(表5)を参照すると、養育費の目安は月額10〜12万円となります。

【ケース3】義務者年収300万円・権利者年収0円(専業主婦)・子ども1人(3歳)

算定表(表1)を参照すると、養育費の目安は月額4〜6万円となります。

より正確なシミュレーションは、裁判所対応の自動計算ツールを活用すると便利です。

養育費の相場はいくら?年収・子供の人数別に解説【計算機・早見表】

養育費に含まれる費用・含まれない費用

養育費に含まれる費用・含まれない費用

養育費を受け取る際、何がカバーされて何が別途必要なのかを正確に把握しておくことが重要です。

養育費の範囲を誤解していると、「これは養育費でカバーされるはず」「いや別途請求すべきだ」といったトラブルの原因になります。

養育費でカバーされる範囲(衣食住・教育費・医療費など)

養育費とは、子どもが「通常の生活を送るために必要な費用全般」を指します。

具体的にカバーされる範囲は以下のとおりです。

  • 食費・生活費(日常の食事・日用品など)
  • 住居費(家賃・光熱費など)
  • 衣服費(日常的な衣類)
  • 公立学校の学費・教材費
  • 通常の医療費(風邪・けが等の一般的な通院費)
  • 学童保育費・保育園費用
  • 交通費(通学等の日常的なもの)

上記の費用は算定表で計算される月々の養育費に含まれているとみなされます。

毎月の養育費を受け取っていれば、上記の費用については原則として別途請求はできません。

別途請求できる「特別費用」とは(私立学校・塾・入院費など)

算定表ではカバーされない「特別費用」は、別途相手に請求できる場合があります。

特別費用として認められやすい主な項目は以下のとおりです。

  • 私立学校の学費(公立との差額部分)
  • 大学の入学金・授業料
  • 塾・習い事の費用(受験対策や課外活動)
  • 高額な医療費(入院・手術・歯科矯正など)
  • 留学費用
  • スポーツクラブや音楽教室など特別な習い事の費用

ただし、特別費用は「必要性」と「双方合意」が条件となります。

離婚後に権利者が一方的に私立学校に入学させ、事後的に差額を請求しても認められないケースもあります。

特別費用については、できるだけ離婚時に取り決めを明確にしておくことが重要です。

特別費用の取り決め方と公正証書への記載ポイント

特別費用でトラブルを防ぐためには、具体的な条件を離婚協議書や公正証書に明記することが最善策です。

記載例として「子どもが私立学校に進学する場合は、私立学校の学費のうち公立との差額分を双方で協議のうえ按分して負担する」のように、金額の算定方法まで具体的に定めましょう。

公正証書への記載ポイントは以下の3点です。

  1. 費用の種類を具体的に列挙する(私立学費・塾代・入院費など)
  2. 費用負担の割合を明記する(例:義務者50%・権利者50%)
  3. 請求の手続き方法を定める(例:前月末までに領収書を提示し翌月払い)

公正証書に特別費用の取り決めを明記しておけば、将来の追加費用についても法的根拠をもって請求することが可能になります。

養育費の支払い期間はいつまで?【成人年齢18歳との関係】

養育費の支払い期間はいつまで?【成人年齢18歳との関係】

2022年4月の民法改正により成人年齢が18歳に引き下げられたことで、「養育費の支払いは18歳まで?」と疑問を持つ方が増えています。

結論から言うと、成人年齢の引き下げは養育費の支払い終期に直接影響しません。

原則は「20歳まで」が実務上の主流

現在の実務では、養育費の支払い終期は「子が20歳に達する月まで」とするケースが最も多いです。

民法改正で成人年齢は18歳になりましたが、養育費は「親としての扶養義務」に基づくものであり、成人年齢と必ずしも連動しないのが実務上の考え方です。

家庭裁判所の調停・審判においても、特別な事情がない限り20歳までを終期とする取り決めが多く見られます。

ただし、2022年4月以降に離婚する場合は注意が必要です。取り決め時に「20歳まで」と明示しておかないと、「18歳成人だから支払い義務はない」と主張されるリスクがあります。

大学卒業(22歳)まで延長するケースと条件

子どもが大学に進学する予定がある場合、22歳の3月(大学卒業時)まで養育費を継続する取り決めも可能です。

ただし、大学卒業まで延長するには離婚時の協議または調停・審判での合意が必要です。

延長が認められやすい条件として以下が挙げられます。

  • 子どもの学力・成績から大学進学が合理的に見込まれる場合
  • 義務者の経済的な負担能力が認められる場合
  • 権利者がシングルマザーで大学費用の負担が困難な場合

離婚時に「子どもが大学に進学した場合は大学卒業まで支払う」と合意しておけば、後からトラブルになるリスクを大幅に減らせます。

取り決め時の文言で将来のトラブルを防ぐ方法

支払い期間に関するトラブルを防ぐためには、曖昧な表現を避け、具体的な終期を明記することが重要です。

NG例(曖昧な文言):「子どもが成人するまで養育費を支払う」

→ 「成人」が18歳か20歳か解釈が割れ、トラブルの原因になります。

OK例(明確な文言):「子どもが満20歳に達する月まで毎月〇万円を支払う。ただし子どもが大学(専門学校含む)に進学した場合は、卒業する月まで継続して支払う」

年齢と条件の両方を明示した文言にすることで、将来の解釈の相違を防げます。

養育費が相場より増額・減額されるケース

養育費が相場より増額・減額されるケース

算定表はあくまで目安であり、個別の事情によって相場より高くなることも低くなることもあります。

交渉の前に、自分のケースがどちらに該当するかを把握しておきましょう。

相場より高くなる5つのケース

以下のケースでは、算定表の目安より高い養育費が認められる可能性があります。

  1. 義務者の年収が極めて高い場合(年収1,000万円超) 算定表の上限を超えた収入がある場合、実態に即した金額に修正されることがあります。
  2. 子どもが私立学校に在籍している場合 公立との差額分が加算対象となります。
  3. 子どもに障害や持病があり特別な医療費がかかる場合 継続的な治療費・療育費が必要と認められれば増額要因になります。
  4. 権利者が病気・障害等で就労できない場合 収入がゼロに近い権利者の生活費負担が大きく、養育費が増額されることがあります。
  5. 義務者の不貞行為など離婚の有責性がある場合 有責配偶者としての責任から、自発的に相場以上を申し出るケースがあります(法的強制力はなし)。

相場より低くなる4つのケース

反対に、以下のケースでは養育費が相場より低くなる可能性があります。

  1. 義務者が失業・病気等で収入が大幅に低下している場合 支払い能力が著しく低下した場合、減額が認められることがあります。
  2. 権利者の収入が高い場合 権利者が高年収であれば、子どもの生活費の多くを権利者自身がまかなえるとして減額される可能性があります。
  3. 義務者に再婚・新たな子どもがいる場合 新たな扶養義務が生じることで減額事由になり得ます。ただし自動的に減額されるわけではありません。
  4. 義務者が住宅ローンなど多額の負債を抱えている場合 実態として支払い能力が低下していると認められる場合、考慮されることがあります。

増額・減額の交渉を有利に進めるポイント

増額・減額の交渉を有利に進めるためには、客観的な証拠と数字で主張することが不可欠です。

増額を求める側は、子どもの実際の教育費・医療費の領収書や見積もり書を用意し、相場より多くの費用がかかっていることを示しましょう。

減額を求める側は、収入減を証明する源泉徴収票・廃業届・医師の診断書などを準備します。

交渉が感情的にならないよう、算定表の数字を共通の基準として提示しながら話し合うことで、合意に至りやすくなります。

交渉がまとまらない場合は家庭裁判所への調停申し立てが有効です。

離婚後に養育費を確実に受け取るための3ステップ

離婚後に養育費を確実に受け取るための3ステップ

養育費は取り決めるだけでなく、確実に受け取り続けるための仕組みを整えることが大切です。

以下の3ステップを踏むことで、受け取れないリスクを大幅に低減できます。

ステップ1:夫婦間の協議で金額と条件を決める

まずは夫婦間の協議(話し合い)で、養育費の金額・支払い開始日・支払い終期・振込口座などを具体的に決めます。

協議の際は算定表を参考に相場の範囲内で合意することで、後から「高すぎる」「低すぎる」といったトラブルを防げます。

口頭での合意は証拠が残らないため、必ず書面化してください。

決める内容の主なチェックリストは以下のとおりです。

  • 月額の養育費(例:月5万円)
  • 支払い開始月(例:離婚成立の翌月から)
  • 支払い終期(例:子どもが20歳に達する月まで)
  • 振込先口座
  • 特別費用の負担割合
  • 増減額の条件(例:物価上昇・進学時の再協議など)

ステップ2:公正証書を作成して法的効力を持たせる

協議で合意した内容は、必ず公正証書として作成してください。

公正証書とは公証人が作成する公文書で、法的証拠力が高く、強制執行が可能になります。

特に重要なのが「強制執行認諾条項」を盛り込むことです。

この条項があれば、相手が養育費を支払わない場合に裁判を経ずに給与や預金を差し押さえることができます。

公正証書の作成費用は、養育費の総額によって異なりますが、一般的に数万円程度が目安です。

作成は全国の公証役場で可能であり、近くの公証役場は日本公証人連合会の公式サイトで検索できます。

ステップ3:協議がまとまらなければ調停を申し立てる

協議で合意に至らない場合は、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てることができます。

調停では調停委員が間に入り、双方の主張をもとに算定表を基準として養育費の金額を調整する流れです。

調停が成立すれば調停調書が作成され、公正証書と同様に強制執行の根拠となります。

調停でも合意できない場合は審判に移行し、裁判官が養育費の金額を決定します。

調停申し立ての費用は子ども1人あたり収入印紙1,200円と郵便切手代のみで、弁護士なしでも申し立て可能です。

申し立て先は相手方(義務者)の住所地を管轄する家庭裁判所です。

養育費が払われない場合の対処法

養育費が払われない場合の対処法

養育費を取り決めても、支払いが滞るケースは残念ながら少なくありません。

厚生労働省の調査によれば、養育費を現在も受け取っている母子世帯は全体の約28%に過ぎません。

支払いが止まった場合には、段階的に対処していくことが重要です。

履行勧告・履行命令で支払いを促す

調停調書や審判書がある場合、家庭裁判所に「履行勧告」を申し出ることができます。

履行勧告は家庭裁判所が義務者に対して「養育費を支払うよう」促す制度であり、費用は無料です。

強制力はありませんが、裁判所から通知が届くことで支払いが再開されるケースも多くあります。

さらに強い措置として「履行命令」があり、履行命令に違反した場合は10万円以下の過料が科せられます。

強制執行で給与や預金を差し押さえる

最も効果的な回収手段が「強制執行(差し押さえ)」です。

公正証書(強制執行認諾条項付き)または調停調書・審判書があれば、裁判所の力を借りて義務者の給与や預金を強制的に差し押さえられます。

給与の差し押さえは特に効果的で、義務者の給与の最大1/2まで差し押さえが可能です(一般的な債権は1/4が上限だが、養育費は特別扱い)。

また、2020年の民事執行法改正により「財産開示制度」が強化され、義務者が財産の開示を拒否したり虚偽の申告をしたりすると刑事罰の対象になりました。

預金口座や職場の特定が以前より格段にしやすくなっています。

公正証書がない場合の対処法

口頭や簡単な書面だけで取り決めをして公正証書がない場合は、すぐに強制執行はできません。

公正証書がない場合はまず家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てることが先決です。

調停で合意が成立すれば調停調書が作られ、以後は強制執行が可能になります。

相手が調停にも出席しない場合は審判に移行し、裁判官が養育費の金額を決定します。

過去の未払い分についても、調停・審判の申し立て以降の分を含めて請求できる場合があります。

養育費の問題で弁護士に相談すべき3つのケース

養育費の問題で弁護士に相談すべき3つのケース

養育費の交渉・請求は自分でも可能ですが、状況によっては弁護士のサポートを得た方が確実かつ早期に解決できます。

以下の3つのケースに該当する場合は、早めの弁護士相談をお勧めします。

相手が話し合いに応じない・連絡が取れない場合

相手が話し合いを拒否したり、連絡が取れない状態になっている場合、個人での対応は困難です。

弁護士に依頼すれば、弁護士名義で内容証明郵便による支払い要求を送ることができ、心理的プレッシャーを与えられます。

内容証明を送っても応じない場合は調停申し立てへ移行し、弁護士が全ての手続きを代理してくれます。

相手の収入が不明・隠されている場合

自営業者や会社役員など、相手の正確な収入が把握できないケースは少なくありません。

弁護士を通じて弁護士会照会制度を活用したり、調停・審判の場で収入証明書の提出を求めたりすることで、実態に近い年収を把握できます。

また2020年の民事執行法改正による「第三者からの情報取得手続」により、金融機関や市区町村から義務者の資産情報を取得できる仕組みも整いました。

DV・モラハラがあり直接交渉が困難な場合

DV(ドメスティックバイオレンス)やモラルハラスメントがある場合、相手と直接交渉することは精神的・身体的な危険を伴います。

DV・モラハラがあるケースでは、弁護士を代理人として立てることで、相手と一切接触せずに手続きを進めることが可能です。

住所非公開のまま調停を進める措置(「住所秘匿制度」)も利用できるため、安全を確保しながら養育費の取り決めができます。

弁護士費用の相場と無料相談窓口の活用法

弁護士費用が心配な方も多いですが、実は無料で相談できる窓口が多数あります。

弁護士費用の一般的な相場は、着手金10〜30万円、成功報酬10〜20万円程度が目安です。

費用が難しい場合は法テラス(日本司法支援センター)の審査を通ることで、弁護士費用の立替制度(分割返済可)を利用できます。

無料相談が利用できる主な窓口は以下のとおりです。

  • 法テラス(日本司法支援センター):0120-007-110(無料電話相談)
  • 各都道府県の弁護士会(法律相談センター):初回30分無料
  • 市区町村の無料法律相談会
  • 配偶者暴力相談支援センター(DV被害者向け)

養育費に関するよくある質問

養育費に関するよくある質問

Q. 再婚したら養育費はどうなる?

A: 権利者(受け取る側)が再婚しても、原則として養育費の支払い義務はなくなりません。ただし、再婚相手が子どもと養子縁組をした場合は、再婚相手が第一次的な扶養義務者となるため、養育費の減額または消滅が認められる可能性があります。再婚しただけ(養子縁組なし)では養育費は変わらないと理解しておきましょう。

Q. 相手が再婚・子どもができたら減額される?

A: 義務者(支払う側)が再婚して新たな子どもができた場合、扶養義務が増えるため減額事由になり得ます。ただし、自動的に減額されるわけではなく、家庭裁判所への調停申し立てを経て初めて変更が認められます。再婚・出産を理由に一方的に支払いを減らすことは許されません。

Q. 養育費と面会交流は関係ある?

A: 法律上、養育費と面会交流は別々の独立した権利義務です。「面会交流を拒否されたから養育費を払わない」「養育費が未払いだから面会を拒否する」といった対応は、いずれも法的に認められません。子どもの利益のために、両者は切り離して対応することが原則です。

Q. 養育費を一括でもらうことはできる?

A: 双方の合意があれば、養育費を一括で受け取ることも可能です。ただし、一括払いの場合は相手が後から「支払い能力が低下した」と主張して返金を求めることはできません。また、一括払いを受けた後に相手が死亡・失業した場合でも追加請求はできなくなります。一括払いを検討する場合は、将来の不確定要素もよく考慮した上で判断しましょう。

Q. 過去の養育費を遡って請求できる?

A: 過去に遡って養育費を請求することは基本的に困難です。実務上、養育費の請求は調停申し立て時または請求時以降の分しか認められないケースが多いです。ただし、離婚時に取り決めをしていたにも関わらず支払われなかった分(未払い分)は、時効(原則5年)の範囲内で遡って請求できます。未払いが判明したら早急に手続きを開始しましょう。

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まとめ:適正な養育費の相場を把握して損をしない交渉を

この記事で解説した内容を振り返りましょう。

  • 養育費の相場は月2〜6万円が目安だが、義務者・権利者の年収や子どもの人数・年齢によって大きく異なる
  • 裁判所の養育費算定表が実務上の基準であり、縦軸・横軸の年収交点から金額帯を読み取れる
  • 特別費用(私立学費・塾・入院費)は別途請求可能で、公正証書への記載が重要
  • 支払い終期は「20歳まで」が主流だが、取り決め時の文言で「22歳大学卒業まで」とすることも可能
  • 養育費を確実に受け取るには公正証書(強制執行認諾条項付き)の作成が最重要
  • 未払いには履行勧告→強制執行(差し押さえ)の順で対処する
  • 2026年4月から施行の法定養育費制度(子1人月2万円)により、取り決めなしでも一定額を請求できる仕組みが整う

養育費は子どもの将来を守る大切な権利です。

相場をきちんと把握した上で、公正証書の作成や法的手続きを通じて確実に受け取れる状況を整えてください。

交渉に不安がある場合や相手との話し合いが難しい場合は、早めに弁護士や法テラスに相談することをお勧めします。

2026年4月施行の法定養育費制度の詳細については、法務省公式資料(PDF)でも確認できます。

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